コミック・ゴン!3号のF先生特集

 
 
 ヤフオクで出てたこの雑誌を購入しました。
 「まんが家の残した遺産特集」ということで、石ノ森章太郎手塚治虫などが大々的に取り上げられています。
 その中で、ページ数こそ少ないですがF先生も特集されていました。
 「ドラえもんしか知らない人のためのF先生講座」という題で特集されているだけあって、ファンの人たちが知らないような裏話は特にありませんが、商業誌としては中々の内容だと思います。
 特に、SF短編の紹介は話のあらすじをなるべく触れずに、なおかつ面白さをピックアップ出来ていて中々良かったです。ミノタウロスの皿を、「オチが勝負の短編。ストーリーは書けません」と紹介している点などに好感が持てました。この前の「こだわり人物伝」ではオチをネタバレしてたからなあ・・・まあテレビと雑誌では媒体が違うので一概に比べることは出来ませんが。
 その他パーマンエスパー魔美などの有名作品から、バケルくん、T・Pぼんみきおとミキオなどなどファンからの評価は高いもののあまり有名ではない作品も紹介されていました。
 モジャ公を単なるギャグ漫画っぽく書いているのが個人的には気に入りませんでしたがそれ以外はだいたい満足できる紹介になっています。
 ただこの特集、なぜか誤字が結構あるんですwパーマンの主人公が「須和」ミツオになっているし。コンポコの鳴き声が「フォンフォン」になっているのには思わず笑ってしまいましたwww
 
 
 他にも、この雑誌には藤子スタジオの元アシスタントであるえびはら武司さんがF先生との思い出を描いた「・・・だれも書かなかった・・・藤子・F・不二雄先生とボク」という漫画が載っています。
 内容は、他のアシスタントはF先生とA先生両方を手伝っていたけれども、えびはらさんはF先生専属だったということ。ファンや取材が来た時に対応するのはたいていA先生だったのに、えびはらさんがファンとして訪ねたときにはF先生が応対してくれたということ。F先生がしてくれたアドバイス(落語を聞け、良い音楽を聞くと漫画にいいリズムが出る)。F先生はなぞなぞが得意。自作の漫画を見せたら、翌日には丁寧な感想を手紙に書いて机の上に置いておいてくれたこと、などなどです。
 いい音楽を聞くと漫画にいいリズムが出る、こうやってF先生が考えていたというのは知りませんでした。音楽を聞きながら仕事をするという話は結構聞いたことがあったのですが・・・気分転換としてだけでなく、漫画の質の向上に繋げるためにも聞いていたのですね。
 えびはら武司さんは代表作に「まいっちんぐマチコ先生」があるのですが、おそらく藤子スタジオ出身のアシスタントの方が描かれた漫画の中では一番のヒット作でしょう。この雑誌にもイラストが載っているのですが、確かに藤子漫画っぽいタッチで描かれています。
 えびはらさんは1973年〜75年まで、F先生の専属アシスタントとして働いていました。そのころのF先生が描いていた作品は「ドラえもん」「ジャングル黒べえ」「キテレツ大百科」「バケルくん」などです。
 現在刊行中の「藤子・F・不二雄大全集」のバケルくんに、えびはらさんの解説が載っています。当時の思い出と、えびはらさんのバケルくん論が書かれています。まさに全集の解説にふさわしい文章になっています。
 えびはらさんはバケルくんの連載途中に藤子スタジオを去ることになります。全集の解説ではあまりそのことについて深く触れてはいないのですが、先述した「藤子・F・不二雄先生とボク」では藤子スタジオを出た時のことについて描かれています。
 

 

えび「アシスタントってどのくらいやればいいんでしょう?」F先生「3年やればいいんじゃない」 F先生「今月で辞めたいんだって?マネージャーから聞いたよ」
 翌日 机の上に手紙があった もう一年いてほしかったのでしょうか 辞めたくなくなりましたがそんなこと言えなくなりました お世話になりっぱなしで満足なお手伝いもせず自分勝手にやめていった私でした 「すいません」と言い続けていました その後藤本先生と会っても以前のような会話はできませんでした そして藤本先生とはもう会えなくなってしまいました・・・

 


 えびはらさんは藤子スタジオを辞めたことを大分後悔していたようですね。F先生にとっても、一番弟子的立場であるえびはらさんが辞められたことがショックだったのでしょう。
 「未来の想い出」に登場する矢吾団平(主人公納戸のアシスタント。アシスタントを辞めた後有名漫画家になる青年)はえびはらさんがモデルになっているのかもしれませんね。納戸は、矢吾に辞められた後ノイローゼになってしまいますが、ひょっとしてF先生もノイローゼになってしまったのでしょうかね。

 
 久々の更新でしたが相変わらずの脈絡のなさです(笑)
 まあこれからも書きたいことを書いていきますのでどうぞ温かい目で見守ってやってください。