人魚大海戦の感想 

 人魚大海戦は二回見てきました。情報を完全にシャットアウトし、作品の評価などもまったく聞かずに見ています。他の人の批評を見てから行くと、どうしても素直な心で見れませんからね^^とにかく楽しい作品に仕上がっていれば・・・という気持ちで見てきました。私はあくまで、わさドラを応援していこうというスタンスで見てますからね。さて、ここからは完全にネタバレになりますので少し行を開けて書きますね。






 
 



 









 30周年記念作品はオリジナル作品をやる、と聞いた時、正直私は期待していた。「緑の巨人伝」が上映された当時私は藤子ファンではなく、その惨状を知らなかったため、楽観視していたのだろうと思う。しかしその期待は見事に打ち砕かれてしまった。
 まず序盤。色々とツッコミを入れたくなる点もあったが、そこまで気にはならなかったので何も考えず鑑賞。しかしみんなで星を見に行くシーンから気分が一変した。なぜスネ夫があんなに理不尽にみんなから攻撃されなくてはならないのか。このシーンで一体何を表現したかったのかよく分からない。みんながソフィアさんのことを思っている、という友情を表現したかったのだろうか。スネ夫を攻撃することにより友情を表現するというのはいかがなものだろう。どこが友情なのだろうか。
 武田鉄矢さんの挿入歌はよかったと思う。しかしあのシーンに入れるべきだろうか。とりあえず入れましたよ、という感がぬぐえない。しかも海に袴(だったっけ?w)を着たカニのようなわけのわからん生物がたくさんいるのも謎。あのキャラクター達は視聴者投稿のキャラクターらしい。ようするに子供たちが描いたキャラクターを映画に出演させちゃってるわけだ。去年の「新・のび太の宇宙開拓史」にも視聴者投稿のキャラクターがいたが、なんだか変なキャラクターばかりで浮いていたように感じた。まあ子供が考えたキャラが商業作品に出てたら浮くのは当たり前のことである。それを平然とやってのけるというのはいったいなんなのだろうか。あのキャラクターを出すことが、ドラえもんファンの子供たちへのファンサービスなのだろうか。こんな形でのファンサービスは絶対に辞めるべきである。来年はさすがに登場させる余地がないと思うし、出さないとは思いたいが、また違う形で子供たちを映画にからませるのだろう。本当に辞めてほしい。
 他にもなぜ剣がいきなり敵の前に落ちるんだとか、ただのサーフボードってなんだよとか、ドラミうっとおしいなとか、いきなり全権委ねるって何wwとかあるが、その点のツッコミは色々なところでなされているので、ここでは深くふれないでおく。それよりも、もっとも私が不快に感じたのは、先ほど述べた子供たちが考えたキャラタクターを安直に出すこと、そして変なところで多々見受けられるドラえもんファンへの媚びである。
 ドラミのストップウォッチが0.93秒で止まるシーンがある。これはドラえもんの誕生日が9月3日だからという遊びらしい。Quick Japanのインタビューで、今回監督を務められた楠葉監督は、「ここはコアなドラえもんファンが喜んでくれる」、と語っていた。こんなシーンをいれられて嬉しがるドラえもんファンなどいるのだろうか。後、「ドラえもん映画のお約束」的な演出を無意味にいれるのも辞めてほしい。とりあえず、温かい目。とりあえず、ジャイアンの歌。とりあえず、熱い友情。とりあえず、ドラえもんが焦りながらポケットの中をまさぐる。とりあえず、タヌキネタ(まあ一番最初のフグネタは、結構笑い声がおきていたからいいのかもしれないけど)。形式だけこだわって、中身が何もない映画になってしまっている。
 また、この作品は非常にチグハグ、ブツギリ感が強いとも感じた。脚本家のやりたいことと、監督のやりたいことがかなり乖離していたため、このようになってしまったのだろう。どこかのインタビューで、ドラえもん制作陣はスタッフの意見があまり一本化されていないため、今回は一本化させたというような趣旨の記事を読んだが、映画の出来を見る限り、まだまだスタッフ間に溝があるように見える。リメイク派とオリジナル派の対立もあるようだし。とにかく、スタッフ間のいざこざのせいで作品の質を低下させるなど言語道断だ。
 一応二回見たのだが、二回目はハッキリいってとても退屈で眠かった。いいな、と思うような新たな発見もなかった。
 こんな惨状では来年の映画(おそらく鉄人のリメイク)は全く期待が出来ない。あの名作をどう台無しにしてくれるのか、怖いもの見たさで逆に楽しみかもしれない。わさドラは応援しているが、少なくとも映画においてはのめり込んで応援することは辞めることになると思う。



 これが私の率直な感想です。初めて見たときの印象を思い出し、書きました。