パラレル西遊記鑑賞

 このパラレル西遊記は、ドラえもんの原作者である藤子・F・不二雄先生は一切かかわっていません。アニメオリジナルの作品なのです。F先生の没後の映画作品を見てもらえば分かると思いますが、やはりF先生が描いてない作品は非常に質が劣るのです。必死にボロを出さないようにやらなくてはいけないわけです。で、今回は西遊記を下敷きにしてやったわけですが、このように完成度の高い昔話を下敷きにする、というのは非常にうまい手法だなと思いました。
 さて、本題に入りますが、まずドラえもんの声に非常に違和感を覚えました。友達というよりはまるで保護者、おばあちゃんといった感じがしました。わさドラになれてしまっているというのもあるかもしれませんが・・・
 あと、毎度おなじみのセリフ回し。「あ〜それをいっちゃあおしまいだよ。」「おしまいさ!」ってやつですね。なんかすごくダルく感じました。
 F先生が、ドラえもんはマンネリ作品ではないということについて語っている記事で、アニメではママが今日という今日は許しませんからねという毎度おなじみのセリフがあるけれども、実際原作では、多少は言い回しや演出を変えていると言ってました。
 こういう毎度おなじみのセリフでファン層の固定をしていたのかどうかは分かりませんが、私的にはちょっとイライラするだけでした。
 
 全体的にはまあまあ楽しめましたが、細かいところでは粗いなあと感じざるを得ない箇所がいくつかありました。
 まずあののび太としずかちゃんが月明かりの下で二人っきりですごすシーン。ああ、なんかこういうのっていいなあと思って見てたんですが、突如あの警戒アラームが鳴ってドラえもんがうるさいっていって止めるシーン。あれじゃあなんのためにアラームセットしたんだか分かりません。大したギャグにもなってないですし、ハラハラするわけでもないし。ほんとに何がやりたかったのか分かりませんでした。
 あと、お城からの脱出がどこでもドアってのもね。鉄人兵団で、タイムマシンで解決なんて安直だったなとF先生は言っておられました。たしかに表層的に見れば安直な解決方法です。しかし、そのタイムマシンで解決するまでの過程の中にしっかりとドラマが盛り込まれています。ですから、クライマックスでしっかり盛り上がれるわけですよね。しかし今回は、ただ棒を伸ばして牛魔王を倒しただけで、道具を使って工夫したとか、宇宙開拓史の決闘のような壮絶な対決をしたというわけでもないですし、さらに脱出がどこでもドアですからね。まあF先生の作品を引き合いに出すこと自体が間違っているのかもしれませんが・・・